「the knowledge of~」と書いてあれば、普通は「〜の知識」。
ところが、ちょっと解釈が難しいケースに遭遇した。
以下は、エリザベス女王が亡くなった時の、チャールズ現国王のコメントの一部。
During this period of mourning and change, my family and I will be comforted and sustained by our knowledge of the respect and deep affection in which The Queen was so widely held.
この中の「our knowledge of the respect and deep affection ~」は、
「女王が(人々から)幅広く受けていた尊敬や深い愛を私たちが知ること」
という意味。
以前、「the+名詞A+of+名詞B」の形の場合、名詞Bが名詞Aの意味上の主語になる場合と意味上の目的語になる場合の両方があることを記した。
「名詞A」には、動詞が名詞化したような名詞が入る。
名詞Bが主語(主格)の役割をする場合。
the existence of the ghost
想定される元の形は、「The ghost exists.」
名詞Bが目的語(目的格)の役割をする場合。
the invasion of Japan
これは「日本の侵略」だが、正確に言うと「日本が侵略されること」。
想定される元の形は、「●● invaded Japan.」主語が不明。
the alien's invasion of Japan
だと、異星人による日本侵略。つまり、元の形は「The alien invaded Japan.」
「the knowledge of ~」も後の名詞が目的格になる使い方。
「knowledge」を「know(知っている)」もしくは「get to know(知る)」が名詞化したものと考えると、「知っていること」「知ること」などと訳せる。実際、辞書にもちゃんと「知っていること」「知ること」「理解」「認識」という訳が出ている。
「the knowledge of A」で「Aを知っていること」「Aを知ること」。
「knowledge」を「知識」だけだと考えないこと。
なお、チャールズ国王の文では「our knowledge」というように「the」ではなくて「our」が付いている。
この「our」は「知ること(know)」の意味上の主語と考えられる。「私たちが知ること」。